授賞式写真

第23回 高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者 発表 / 第15回 若手芸術家奨励制度 発表

2011年 7月 11日

第23回 高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者 発表
第15回 若手芸術家奨励制度 発表

 

世界の優れた芸術家に贈られる高松宮殿下記念世界文化賞(公益財団法人 日本美術協会主催)の第23 回受賞者が、7 月11 日(日本時間11 日20 時)、ロンドン、パリ、ローマ、ベルリン、ニューヨーク、そして東京の各都市で発表されました。
 今年の受賞者には、ビデオ・アートを現代における重要な視覚芸術として確立することに貢献し、ビデオの持つ可能性を飛躍的に拡大させたビル・ヴィオラ、魅惑的で鮮やかな色彩に彩られた作品で深い精神性を表現し、彫刻世界を神秘的空間に変貌させたインド生まれのアニッシュ・カプーア、思い切った色彩の使い方、空間、光、水への配慮が建築界で特異な存在感を持つメキシコのリカルド・レゴレッタ、芸術表現の卓越した高さと、世界の聴衆を魅了してきた輝かしい実績を誇り、近年は教育活動にも尽力している小澤征爾、もともとシェイクスピアやクラシック作品の舞台女優として活躍、テレビや映画に多数出演し、「英国最高の人間国宝」とも称されるジュディ・デンチの各氏が選ばれました。
 また、同時に発表される第15 回若手芸術家奨励制度の対象団体には、ロンドンの「ロイヤル・コート劇場若手劇作家プログラム」と「サウスバンク・シンフォニア」の2 団体が選ばれました。

授賞式典は、日本美術協会総裁の常陸宮殿下、同妃殿下のご臨席のもと、10 月19 日(水)に東京・元赤坂の明治記念館で行われ、5 部門の受賞者には、それぞれ顕彰メダルと感謝状、賞金1500 万円が贈られます。若手芸術家奨励制度の対象団体には、7 月11 日(月)、ロンドンでの発表記者会見の席上、それぞれ奨励金250 万円が贈られました。

 

各部門受賞者は 下記の通りです。

 

第23 回 高松宮殿下記念世界文化賞 受賞者
 ■ 絵画部門       ビル・ヴィオラ              (アメリカ)
 ■ 彫刻部門       アニッシュ・カプーア       (イギリス)
 ■ 建築部門       リカルド・レゴレッタ        (メキシコ)
 ■ 音楽部門       小澤 征爾                 (日本)
 ■ 演劇・映像部門 ジュディ・デンチ            (イギリス)
 

第15 回 若手芸術家奨励制度 対象団体
 ■ ロイヤル・コート劇場若手劇作家プログラム( イギリス)
 ■ サウスバンク・シンフォニア (イギリス)

絵画部門 Painting 

ビル・ヴィオラ Bill Viola

1951年1月25日、アメリカ・ニューヨーク生まれ 

 ビデオという新分野の先駆者として、映像芸術を牽引し、ビデオの可能性を追求し続けるビデオ・アートの第一人者。ニューヨークに生まれ、シラキュース大学美術学部で映像や電子音楽を学ぶ。水や火、光など根源的な要素を使用し、生と死、再生、信仰といった宗教的、哲学的なモチーフを主題とする。母親の死後に制作した作品では自身の心象を表現し、転機となる。1980年から一年半、共同制作者でもある妻のキラ・ペロフと日本に滞在。日本の伝統文化に触れ、禅の師匠でもある画家、田中大圓を師と仰ぐ。東北の霊場・恐山や東京・築地など日本の風景をとらえた《はつゆめ》を制作。アジア初の大回顧展『ビル・ヴィオラ:はつゆめ』が、森美術館(2006)と兵庫県立美術館(2007)で開催された。来春、ロンドンのセント・ポール大聖堂に設置される「ビデオ礼拝所」を制作中。

  

彫刻部門 Sculpture

アニッシュ・カプーア Anish Kapoor

1954年3月12日、インド・ボンベイ(現ムンバイ)生まれ

 ヨーロッパのモダニスムとインド文化を融合させ、彫刻を神秘的空間に変貌させる独創的な現代彫刻家。シンプルなフォルムのなかに深い精神性を表す作品が特徴で、「物質・非物質」「明・暗」など、一つの作品に二重の意味合いを込めた「両義性の作家」とも評される。幼少期をインドで過ごした後、17歳で渡英、美術学校で学ぶ。1979年から翌年にかけて、ヒンドゥー教の世界観に影響を受け、立体の表面を鮮やかな顔料で覆う《1000の名前》を発表。その後、ステンレス、漆といった素材を作品に取り入れ、「湾曲」をキーワードに視覚、知覚を刺激する多様な表現を展開。1991年にターナー賞を受賞、彫刻家としての地位を確固たるものに。「スケール」を重視し、奇抜な巨大彫像を次々に発表。来年のロンドン・オリンピックの記念塔《オービット》(高さ115メートル)のデザインも手がけた。

 

建築部門 Architecture

リカルド・レゴレッタ Ricardo Legorreta

1931年5月7日、メキシコ・メキシコシティ生まれ

 原色で大胆に壁を塗り分け、自然の光を取り入れる。球体のオブジェや格子などのフォルムも斬新で、現代的感覚とメキシコの伝統文化を融合する建築家。色で表現する個性、大きな窓や空間、人々が集うパティオ(中庭)など伝統的なライフスタイルが建築物に投影されている。メシコシティに生まれ、国立自治大学で建築を学ぶ。国際的に有名になったのは1968年、メキシコシティに建てたホテル『カミノ・レアル・ホテル・メキシコシティ』。ピンクの格子と黄色の壁の玄関、真っ青な壁に囲まれた泉など鮮やかな色彩がインパクトを放つ。当時勢いのあった近代主義の美学だけでなく、土着性を反映した現代メキシコ建築を追求した。その特徴を生かした建築は、中南米、米国南部、中東などにも多い。6人の子供の父親でもあり、建築家の3男、ヴィクトル(44歳)は現在、パートナーとして活躍している。

 

音楽部門 Music

小澤 征爾 Seiji Ozawa 

1935年9月1日、中国のシャンヤン(旧奉天)生まれ 

 世界の音楽界になくてはならない存在となっている巨匠指揮者。桐朋学園で指揮教育のパイオニア、齋藤秀雄に師事。1959年にブザンソン国際指揮者コンクールで第一位。カラヤンとバーンスタインに師事。トロント交響楽団、サンフランシスコ交響楽団、ボストン交響楽団、ウィーン国立歌劇場の音楽監督などを歴任し、音楽の世界の頂点を極める。1992年からは、長野県松本市で「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」を立ち上げ、総監督としてサイトウ・キネン・オーケストラを「ウィーン・フィル、ベルリン・フィルに比肩する新しいスタンダードに」という志を持って指揮、欧米でも高い評価を得た。食道がんと腰の手術を克服。今年から、同フェスティバルの演奏旅行も計画し、9月に中国公演を行う予定。

 

演劇・映像部門 Theatre/Film

ジュディ・デンチ Judi Dench

1934年12月9日、イギリス・ヨーク生まれ

 20代からシェイクスピア演劇を学び、舞台、映画、テレビで数々の大役を務めてきたイギリスを代表する女優で、悲喜劇、古典・現代劇を問わない実力派。1957年にオールド・ヴィック座の『ハムレット』オフィーリア役で舞台デビュー。『ロミオとジュリエット』(1960)のジュリエット役のヒットで英演劇界に躍り出た。1961年から歴史ある劇団「ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー」に参加。1960年代半ばから映画にも意欲をみせ、『恋におちたシェイクスピア』(1998)でアカデミー賞助演女優賞を受賞。1995年からは、007シリーズのジェームズ・ボンドの上司M役で出演、国際的な人気を得た。今年11月から撮影が始まる007新作にも出演。1988年には長年の女優としての活動が評価され、英女王から「デイム」(男性のナイトに相当)の称号を与えられた。

 

 

15 若手芸術家奨励制度

2011 GRANT FOR YOUNG ARTISTS

選考: クリストファー・パッテン国際顧問 (イギリス)

Selected by International Advisor Christopher Patten (UK)

 

 1) ロイヤル・コート劇場若手劇作家プログラム

 The Royal Court Young Writers Programme

  18歳から25歳までの若手劇作家を養成するためのイギリスのロイヤル・コート劇場のプログラム。同劇場は創立以来、「劇作家のための劇場」として、若手劇作家の発掘と育成に力を注いできたが、このプログラムは1991年からスタートした。3ヶ月ごとに15人前後が参加。参加者は週一回、同劇場で開かれる講習会で、脚本を朗読したり、討論したり、それぞれが脚本を書いたりと、劇作家としての基礎を学ぶ。2009年の演劇・映像部門の世界文化賞受賞者、トム・ストッパードなど有名劇作家、監督、デザイナー、振付師などを招き、話を聞く機会も設けている。2010年に同劇場が公演した作品の半数はこのプログラムが生んだ若手劇作家のものであり、特にルーシー・プレブルの『エンロン』はウエスト・エンドに進出、ヒット作となった。

 2) サウスバンク・シンフォニア

  Southbank Sinfonia

 2002年に創設された、若手音楽家によるロンドンの交響楽団。毎年、32人の若手音楽家が様々な音楽学校からオーディションで選抜され、奨学金の補助のもと、フルタイムの楽団員として、一年間の訓練を受ける。初期バロック音楽から現代音楽、交響曲、室内楽からソロ作品まで多種多様な音楽を経験できるのが特徴。リハーサルは教会の礼拝堂で行う。メンバーは王立歌劇場、ナショナル・シアターなどで公演し、テレビ出演も多い。毎年、イタリアのアンギアリ音楽祭にも参加、著名な指揮者との共演も多い。卒業生のほとんどがプロのオーケストラなどで活躍している。毎年必要な資金75万ポンド(約一億円)は、すべて民間の寄付で賄う。創立10周年の来年には、フランス、イタリア、米国、オーストラリアなどへのコンサート・ツアーを計画している。